(代表中里文子のコラム/2023.6.24)
2020年コロナ禍での生活が本格的に始まるまでは、ほとんどの日本の企業では会社に出社して働くことが当たり前とされていました。総務省の調査(2022)では、2019年では20.2%であったリモートワーク導入率が、2021年では51.9%まで増加したとの結果でした。
2022年1月~3月の調査(GPTW)によると、働き方の内訳は、「ハイブリッド(出社とリモートを組み合わせた)型」は64.7%、「出社型」は24.1%、「フル在宅ワーク型」は11.2%でしたが、新型コロナウィルス感染症が5類に移行した後の5月の調査でも、出社回帰を求める企業の動きはあったものの、出社率はコロナ前の66%であり、昔のような「出社型」に戻ることはなく、どうやら「ハイブリッド型」が定着してきたようです。
在宅ワークが多かった2020年半ばと、出社が増えてきた2021年後半頃(ワクチン接種が進んだため)の働く人々のメンタルヘルス調査によると、在宅ワークから出社になったことで疲労感が有意に増加したが、心身のストレス反応(イライラや抑うつ)は顕著に増えることはなかったとの結果でした。
在宅ワークと出社勤務には、それぞれメリット、デメリットがあります。従業員のメンタルカウンセリングをしている中で、以下のことにまつわる相談が増えてきています。
「在宅ワーク」
メリット:通勤時間がないことで睡眠時間が増えた。時間の有効活用(子育てなど)ができる。対人関係でのストレスが減る。自分のペースで仕事ができる。
デメリット:家庭と仕事のオン・オフがつけにくい。人と顔を合わせ会話するチャンスが激減した。(上司など)顔や姿を見ることで自然に行ってきた、部下の様子や異変に気付きにくい。孤独感、孤立感を持ちやすい。
「出社勤務」
メリット:皆に会うことで、コミュニケーション(自然発生的なちょっとしたコミュニケーション)がとりやすい。会社の一員であることが感じやすく、部署やチームとしての連帯感が得やすい。イベントや飲み会などが持ちやすい。家庭と仕事のオン、オフがつけやすい。同僚のサポートを得やすい。
デメリット:服や化粧などに気を遣う。通勤などによる疲労感が大きい。通勤時間により、時間効率が悪い。対人関係ストレスはある。ワークライフバランスがとりにくい。
今までと違った働き方が導入されたことで、多くの企業が「心理的安全性」の課題に直面しているといいます。心理的安全性が保てるということは、組織やチームの誰でも、特に部下が意見や疑問など何でも言いやすい環境であることですが、心理的安全性が低い環境では、社員は自分の弱みを見せられず不安感ばかり増すため、過度の緊張からメンタルヘルス不調を訴える人が増え、やがては離職率が増えることになります。
EAP(従業員)の相談では、実際、「離職者が増え、残った社員に仕事量のしわ寄せが行き、残業や業務量過多によるメンタル不調者が増えた」ということが起こっています。「自分が休んだら、他の人に迷惑が掛かってしまう」と考える真面目な人ほどメンタルダウンし、うつ病を発症しやすい傾向にあります。心が強い・弱いの問題ではなく、会社側の心理的安全性が保てていないことが主な要因になります。安心して想いや感情、またはSOSを伝えられる環境を作ることが大事になります。
アフターコロナで働き方も多様になってきた今、どの働き方がベストだというものはなさそうです。企業規模や職種などによっても違ってきます。そもそも、出勤しないと仕事が成り立たない人たちは労働人口の8割を占めています。在宅ワークか、出社かだけでなく、新たな「ハイブリット」という働き方も含め、環境変化による従業員のメンタルヘルス不調には十分に注意をしていく必要がありそうです。
心が強い・弱いではないから、自分自身を責めないことが大事です。上司に相談してみる、特に、なるべく早くまずは心理カウンセラーなど専門家につながることが回復への近道になります。
当オフィスでのカウンセリング・セミナーは、引き続き万全の感染対策を取りながら、リモートでのWebカウンセリングや大好評の「自分探し講座」などのZOOMセミナー、専門職向けの講座などを複数ご用意してお待ちしております。HPなどチェックしてぜひ、弊社LINEに「お友達登録」してご利用してみてください。皆様のこころとからだのご健康をお祈りしております。
それではまた。
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