(代表中里文子のコラム/2022.6.27)

1950年代アメリカでは、第二次世界大戦やベトナム戦争などにより心的外傷を負った帰還兵士たちのサポートや経済不況、リストラなどの社会混乱が起き、それに伴い物・アルコール依存、うつ病などを発症する人々が増加しました。併せて、企業内でも、精神疾患を発病する人が増えることで社会全体の生産力が低下したため、メンタルヘルス対策として「EAP従業員支援プログラム)」が広まりました。1980年代には、レーガン大統領により、各企業が労働者のメンタルヘルスケアに積極的に取り組むべきとされ、「EAP」として医療制度改革が実施されました。現在アメリカでは、企業の77%以上がEAPを導入しています。

EAPはメンタルヘルス対策を目的としますが、最終的にメンタル不調の予防や従業員のモチベーション低下を防ぎ、企業の生産性を維持し向上することにあります。日本での専門機関のスタッフは主に有資格の専門家で、産業医や精神科医、臨床心理士、公認心理師、精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントなど多職種で連携しメンタルヘルス対策にあたっています。

アメリカでは、メンタルヘルス問題、資産運用、法律問題、家庭問題、薬物依存、職場内のいじめ、子育て相談、アルコール依存の問題など多様な問題を対象にしますが、日本では、主にメンタルヘルス問題を扱ってきました。しかし、2015年12月の労働安全衛生法の改正により、従業員数が50人以上の企業には年に1回のストレスチェック実施が義務化され、企業におけるメンタルヘルス対策の重要性が示されました。その結果、個々の従業員が最大限の生産性を発揮するために、就労環境の整備やEAPによるメンタルヘルスの向上を目指す企業が増え、その対象とする問題も、仕事内環境のみならず、プライベートな問題も扱うようになりました。

2019年に発生した新型コロナウィルス感染症(COVID-19)により人々の生活は一新せざるを得ない状況になり、働き方にも大きな変化が現れました。人と人との接触は避けられ、可能な限り「在宅ワーク」が導入され、今まで仕事に出かけていた家族メンバーが在宅することで家族内の構造に変化が起き、それに伴う家族の問題も顕著になりました。特に、在宅ワークに関しては「メリット」がある半面「デメリット」もあり、外(職場)に出ることで気持ちのスイッチをON/OFFし、家庭に仕事を持ち込まずに済んでいたものがその境目が見えなくなり、ワーク・ライフバランスが崩れ、継続的にストレスを抱える、またはストレス発散ができないという相談が増えました。

日本には「ハレとケ」という概念があり、日本人の伝統的な世界観のひとつとして民俗学者である柳田國男氏が提唱したものです。ハレ(晴れ)は儀礼や祭、年中行事などの「非日常」を指し、ケ(褻)は普段の生活である「日常」を指します。「晴れの日」や「晴れ着」「晴れ舞台」などの語源が「ハレ」とされ、餅、赤飯、白米、尾頭つきの魚、酒など御馳走が振舞われ、日常とは区別されました。

ケ(褻・褻れ:けがれ)は、普段通りの生活であり、普段着のことを褻着(けぎ)、普段に食べる食事を褻稲(けしね)とよび、「ケ」が語源とされています。

普段通リに単調な日常の生活をしているのに、何となく体調が悪くなったり気分がすぐれなかったり、物事が順調にいかなくなることが起きます。今でいう「バイオリズム」のことかもしれませんね。昔は、この体調や気分の落ち込みの状態を「気枯れ」「ケガレ」とし、「気が枯れている状態」としました。特に死や病気、出産などは大きな「ケガレ」と考えられ、忌み嫌われ、お祓いなどをして身のケガレを取り除きました。

毎日同じことの繰り返しの日々でエネルギーや気力が消耗されていくと、「あ~、美味しいもの食べに行きたいな~」とか「どこか自然の空気を吸いに旅行でもしたいな~」と感じるのは、「ケ:気枯れ」のためかもしれませんね。生活の中での「ハレとケ」つまり、ONとOFFはとても重要だったのですね。歓送迎会、暑気払いや忘年会などの飲み会などにも意味があったということですね。「OFF」を入れず、休みを取らず、ずっと仕事に没頭して頑張り過ぎることは、「ケガレ:気枯れ」の元なのですね。上手にON/OFFを切り替えて、心身の健康を保つ工夫をしていくことが、日常生活を円滑にしていくコツなのです。

引き続き、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、当オフィスでのカウンセリング・セミナーは、少人数の従来の形でのセミナーと、リモートでのWebカウンセリングや大好評の「自分探し講座」などのZOOMセミナーを複数ご用意してお待ちしております。HPなどチェックしてみてください。また、弊社公式LINEアカウントでは、セミナー情報などを随時配信しております。是非、弊社公式LINEアカウントに「お友達登録」してみてください。

皆様のこころとからだのご健康をお祈りしております。

それではまた。

中里文子


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