(代表中里文子のコラム/2023.1.23)

コロナ禍において、私たちの住む社会や環境は、恐ろしく速いスピードで想定外の出来事が起こる世界に変わってきました。教育相談の中でも、「スマホを持たせるか持たせないか」や「ゲーム時間を制限するには」などの相談が多くを占めていたのに、「一人1台」と言われタブレットを配布され、ランドセルの重量はさらに増すことになり、子どもたちは「二宮金次郎(薪を背負って歩きながら本を読む姿から、勤労しながら勉学に励む勤勉な子どもとしてのモデルにされる。今でも学校の校庭の片隅に銅像が建っているところもある?古いですか…)」のような姿で「試練」の登下校を余儀なくされることになったようです。今や、インターネット、IT機器を使わない人はほとんどいない時代になり、子どもたちの将来の職業選択はAIに取って代わられるものも多く、なかなか想像がつかなくなりました。

子育ての一区切りの大目標として「子の自立」がありますが、この格差社会の中で「子の教育」において、親たちはそれぞれ苦悩しながら子育てをしているようです。「ペアレントクラシー」という言葉があり、「親の財産」と「親の子どもへの教育願望」が子どもの教育を規定しているという考え方で、その逆の立場が「メリトクラシー:努力と能力により教育達成と経済的見返りがある」という社会システムだと言われています。

日本でのペアレントクラシーの始まりは、東京での「学校群制度:都立高校を住む場所で規定し、自由に選べなくした」だと言われています。一流大学進学を目指す富裕層は、中高一貫私立校へ流れました。その後、90年代になると、学校選択の自由尊重の動きが強まりましたが、富裕層は「学歴の差は将来の資産格差につながる」と考え、子どもの教育にさらなる「投資」をし続けることになりました。

近年の「毒親」という言葉の裏には、富裕層の親も多く含まれます。主に「過干渉」「過保護」「過度な支配・管理」「価値観の押し付け」の4タイプに分けられ、親の一方的な価値観で子育てをする親を指し、子どもにとっては将来的な性格形成に影響を与える「大問題」とされています。子どもからすると、まさに「親ガチャ:どんな親(家庭)から生まれてくるか子は選べない、という意味のネットスラング」に成功した/失敗した、となるのでしょうけれど。そういえば、今年の大学入学共通テストの倫理の試験に、「親ガチャ」を想定させるような問題が出たそうで、ツイッターでは注目を集めたようですね。

「親ガチャ」と似た言葉に「上司ガチャ」がありますが、最近のEAP(Employee Assistance Program従業員支援プログラムで、従業員のメンタルヘルス全般の支援、管理のこと)での企業内相談の中で、上司との関係がうまくいかないことや、上司からの業務評価が不当であること、パワハラなどハラスメント、昇進昇格などに関わる査定の不当性などからメンタルダウンしたという新入社員から、「上司ガチャに失敗した」との言葉を時々耳にします。

どうやら、他部署の同期は3年も経つと希望する働き方(部署や海外勤務など)に次々とステージを上げていくのに、自分は3年の時点で「もう少し今のところで頑張れ」と言われ5年経った今も何も変わらず評価されず、「上司とは気が合わないな」と感じているようです。「頑張って希望する大学を出て、希望する会社に入ったのに、上司ガチャで失敗するとは…」という相談です。

特にそういったカウンセリングの中では、「受容・共感」が大事になります。そして「傾聴」に徹し、「エンパワー」していきます。分ってくれる人がいるだけで、人は力をつけます。または自己治癒力を発揮できるようになります。十分に信頼関係が出来上がってきた頃合いを見て、私は自分の言葉にかみ砕きながら、次の言葉を伝えます。

神よ、

私に変えることのできないものは、それをすなおに受け入れるような心の平和を、

変えることのできるものは、それを変える勇気を、

そして変えられるものと変えられないものとを見分ける知恵を、

この私にお与えください。(心の平和の祈りから)

私は、高校、大学はミッション系で学びました。信者ではないですが、ある部分では大きく影響を受けていることもあるかもしれません。この言葉が書かれてあるカードを、高校生の時に担任の「シスター」からいただきました。だいぶ黄ばんできたけれど、今でも大切にその小さなカードを引き出しにしまって持っています。

変えることのできないことを受け止める、でもその中で変えていくことができることを探していく…、まさにカウンセリングの「芯」になる姿勢です。「親ガチャ」は周りが支援していかないといけない問題を多く含みますが、せめて「上司ガチャ」は解決方法があるはずです。カウンセリングは、そういったときに力を発揮します。いつでもどんなことでもご相談ください。

併せて、心理教育の分野においては、「親への心理教育支援」や「上司(管理職)へのリーダー教育支援」も重要になると考えています。カウンセリングの中で「知らなかったこと」への気づきは重要です。「変えられること」に気付き、先に進めるようになるからです。情報提供も、専門家のひとつの役割だと考えます。

引き続き、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、当オフィスでのカウンセリング・セミナーは、少人数の従来の形でのセミナーと、リモートでのWebカウンセリングや大好評の「自分探し講座」などのZOOMセミナーを複数ご用意してお待ちしております。HPなどチェックしてみてください。また、弊社公式LINEアカウントでは、セミナー情報などを随時配信しております。是非、弊社公式LINEアカウントに「お友達登録」してみてください。

皆様のこころとからだのご健康をお祈りしております。

それではまた。

中里文子


こんなことでお悩みの方・・・・・専門家のカウンセリングを受けてみませんか?
カウンセリングでは、ご相談者様の生きづらさに寄り添い、その原因となった出来事に対するものの捉え方、感じ方など内的な感情に焦点を当て、各種心理療法(精神分析的心理療法など)を用いて、ご相談者様の心の側面について内省を促し、生きづらさを解決していきます。
● 自分のこと(家族や友人にも話せない心の悩み、ご自身性格のことなど)
● 家族のこと(親との関係、夫婦関係、子どもとの関係、子どもの発達障害など)
● 仕事のこと(ストレス、ハラスメント、職場の人間関係などなど)
● キャリアのこと(就職、転職、離職、復職など)
カウンセリング・心理検査のご案内はこちらから