(代表中里文子のコラム/2023.5.19)

新型コロナウィルス感染症防止対策において、「密(3密)を避ける」「人との接触を8割減らす」「人と会わない(不要不急の外出は控える)」は、感染症対策の中でも大きな柱となっていましたね。人と人との接触を避けることで、感染拡大においては大きな効果をもたらしましたが、一方で、物理的な距離をとることにより、人との心の距離をも広げてしまったように思います。

今年のゴールデンウィーク(GW大型連休)明けの5月8日より、新型コロナウィルス感染症について、感染症法上の扱いが現行の2類から5類へ引き下げられました。それにより、今までのコロナ関連のいくつもの制限が撤廃され、ウィズコロナアフターコロナへと移行していくこととなりました。

4月では新入学、新学年、新入社、新年度など、新たなステージでの生活が始まり、まだまだ続いていたコロナ禍での感染防止対策の中、不安を抱えながら緊張しながらスタートした方も多かったことと思います。子どもたちも学校でのマスク着用、黙食、検温、手指の消毒、会話の制限などに慣れてきたものの、GWという大型連休が入り、学業や仕事が一度中断される中、連休明けからの学業や仕事再開に伴い、コロナ5類への移行といった環境変化のダブルパンチを受けることになりました。

連休終わりころになると、何人もの子どもたちの心は不安感に襲われ、その中の何割かは「もし、~だったらどうしよう…」といった予期不安から、学校行き渋りや不登校を引き起こしました。GW明けからは、私自身も子どもの相談に追われ、希死念慮のある子どもたちへの危機介入もしました。子どもたちの中には、「マスクを外す」ことに抵抗がある中・高生、大学生女子も多く、マスクを「顔パンツ」と呼び、「マスクを外すくらいなら、実際にパンツを脱いだほうがまし」とまで言っている子どもたちもいるくらいです。実際のパンツを脱いだところでズボンやロングスカートなら隠せるけれど、素顔をさらすことは彼女たちにとっては屈辱的で「あり得ない」そうです。思春期の彼らは、危うく繊細で衝動的な面も多く持っているのです。

「友達と呼べる人がいない」「皆の前でマスクを外し、どう思われるのか」「自分は他者に対して何か不快な臭いを発しているのではないか(自己臭恐怖症)」…人付き合いの少なさや自分に対するコンプレックスが強いなと思われる子どもたちの背景には、「対人恐怖症(対人緊張)」が根っこにある場合が多く、年々増加の傾向が見られます。周りに相談しても、「考えすぎ」「甘えているだけ」と言われ、心の中では「もっと頑張らなくてはダメだ」と余計に自分自身を追い詰めるような真面目なタイプに多く見られます。これらの症状は、表面的には「不登校」などの状態や、心身症(心理的要因・精神的ストレスが原因で、胃炎やぜんそく、狭心症、難聴など身体に疾患として症状が現れる)のように表出してきます。

新型コロナウィルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査(2020、厚労省)では、特に4月~5月での不安等を感じた割合が63.9%と多く、昔から言われている「5月病」と一致します。また、コロナウィルス感染拡大前に比べ、子どもたちの日常生活における変化として、「運動量が約4割の人が減少した」「ゲームの時間は約2割の人が増加した」と回答しています。「在宅」「うちで過ごす」「人と会わない」ことが、人々の暮らしに浸透し、いざ、「5類になりました。皆さん外へ出ましょう」と言われても、新しい環境への適応はそうたやすくはなく、何となく体調が悪い、やる気が出ないなどの症状が出てくるのは当然のことです。「5月病」に拍車がかかった、ある意味での「適応障害」「抑うつ症状」がこのGW明けの状態だと思われます。

その対策として、ストレスをためないことが大切になります。具体的には、「親しい人たちと話をする」「笑う・泣く」「学校や仕事環境と違った趣味などを持つ」などは有効なストレス対処法になります。

また、自身の考え方に気付く(電話相談等のカウンセラーなど専門家と話をすることなどで可能になります)ことも楽になるきっかけとなります。例えば、「完璧主義」などは、「白か黒か、〇か✕かではなく、何割できているかというように数値化してみる」ことも完ぺき主義を緩めていきます。また、「ねばならない、~べき」などは、「~であればいいね」というように「考えを緩める」ことが大事になります。

とにかく、一人で考えない、誰かに話してみる、特に、専門家による無料相談電話などは、へこんでしまったあなたのからだに息を吹き込んでくれるはずです。うまく利用してみてくださいね。

引き続き、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、当オフィスでのカウンセリング・セミナーは、万全の感染対策を最大限に取りながら、Webカウンセリングや大好評の専門職向けのZOOMセミナーなど、複数ご用意してお待ちしております。HPなどチェックしてぜひ、弊社LINEに「お友達登録」してご利用してみてください。皆様のこころとからだのご健康をお祈りしております。

それではまた。

中里文子


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