(代表中里文子のコラム/2023.7.21)

発達障害の一つ「自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)」の特徴として、以下の3つ(ローナ・ウィングの三つ組み)が挙げられます。

① 対人関係の障害(社会性の障害)
② コミュニケーションの障害(言語機能の障害)
③ イマジネーションの障害(こだわり行動と興味の偏り、固執性)

これらの特徴のもとになる問題として、「適応」という概念があります。「適応する(させる)」という行為は2側面あり、環境や周りの状況に適応するといった外的適応と、自分自身の身体感覚(怖い、疲れた、痛い等)などの内的適応があります。

ASDの人は、特に内的適応である「身体感覚」が弱いと言われていて、例えば、怖いという感覚が鈍かったりすると高いところから平気で飛び降りてしまい大ケガをしたり、疲れたという感覚が弱くいつまでも仕事をしてしまうことがあります。いわゆる自己感覚(自分で自分の身体に気付く、モニターする、力加減をする)が弱いことで、「ああ、疲れたから、今日はこのくらいにしておこう」などのように自身の行動をコントロールすることが苦手で、どうしても周りの状況に合わせてしまうことが起こりやすくなります。従って、仕事が終わるまでし続け、結果としてダウンしてしまうことになります。

自分自身の身体感覚に気付くことができないと、コミュニケーション(対話)においても不具合が生じてきます。「こういったら相手は嫌な気持ちになるな、傷つくな…」などのように「相手の気持ちを考える」「場の空気を読む」などが苦手というのはASDの人の特徴と言われていますが、それ以前に、自分自身が「こんな言葉をかけてもらって嬉しい」とか、「こういわれたから悲しくなった」などの自己感覚が弱いため、相手との言葉のキャッチボールであるコミュニケーション(対話)において、うまく相手とやり取りができないのです。

身体感覚(自己感覚)はとても大切な感覚です。過敏になると過剰反応をし、不安感が増すことになり、鈍感になるとストップが利かずけがや事故につながりやすくなります。自身のからだをうまく調整する、コントロールすることが「適応」の基本になります。

身体感覚をうまく育てていくには、なるべく早い時期にその子の特性に気付き、訓練をしていくことが重要になります。例えば、「好き」「心地よい」という感覚は丁寧に育ててあげて、また、「苦しい」「嫌だ」という感覚は我慢せずに安心して伝えてもいいと教えていきます。自分自身の感覚を大切にすることを肯定してあげることが、自己肯定感を育てていきます。

ただ、ここで日本社会が抱える大きなひずみ(問題)があります。集団や組織の中で、自己感覚を主張しすぎると、「自己中」や「わがまま」として扱われる可能性があるのです。外的適応とは、周りの状況を見て、自分だけが目立つことをしない、いわば「朱に染まる」「自分を抑える」「馴染む」必要が出てくるのです。「~すべき」「~してはいけない」という枠からはみ出すことは問題とされてしまうことが多いのです。非難される、否定されることで、自己否定や劣等感といった2次的障害が生じます。

発達障害は生まれつきの特性で、病気とは異なります。発達の進み方に早いところや遅いところ(発達凸凹)があり、そのため苦手なことや上手くできないことが増えて生活や仕事で困ってしまうことを言います。そのため、ASDなどの発達障害児・者への支援において、自己肯定感を高めていくこと(自分は自分であっていいという自己肯定の感覚)が重要になります。まずは、自分の感情や身体感覚に気付くこと、そしてその自己感覚を自分の中に抑圧するのではなく、「ああ、自分の中にこんな気持ちが沸き起こってくるんだなあ~」「結構無理して頑張っているなあ、自分…」と認めてあげてください。自分を大事にすることで、他者をも大事にすることができるようになるのです。

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それではまた。

中里文子


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