(代表中里文子のコラム/2022.5.26)

「嘘つきは泥棒の始まり」「嘘から出た実(まこと)」「嘘も方便」「嘘八百」…にまつわることわざは多くあり、「嘘をつくこと」はよくないこととわかってはいますが、では、なぜ「嘘」はいけないことなのでしょうか?

子育て相談教育相談をしている中で、親御さんからの「子どもが嘘をつく」という悩みのご相談を受けることがしばしばあります。心身ともに成長期である子どもの嘘には、基本的にはその背景に「嘘をつく理由」が存在します。また、ある一定の年齢以上に関しては、確かに対処が必要なものとそうではないものに分かれますが、思春期以降(12歳、13歳くらい~)であれば、「虚言癖:1891、ドイツの心理学者アントン・デルブリュックにより提唱」と呼ばれている虚偽性障害作為症パーソナリティ障害等の可能性も視野に入れていかなければなりません。

子どもが嘘をつく場合、子どもの発達段階によって、その意味や対処法が違ってきます。しかし、いずれにしても、子どもが嘘をついたという結果だけを重視したり非難したりせずに、まずは子どもの「言い分」に耳を傾けることが重要になります。以下に発達段階に応じた「嘘」の特徴を示してみますね。

幼児期(言語発達が顕著になる3歳ころから小学校入学ころまで)

この時期の子どもは言語発達が未熟であり、自分の感情や考えを他者に伝える能力は完成していません。また、物事を自分のイメージを使い認識できるようになる反面、空想と現実の境界線がはっきりしておらず、思考は自己中心的です。例えば、目で見えるものが自分にとっての「全て」であるため、「隣の部屋で仕事をしているから、ここで一人で遊んでいてね」が納得できず、母親がオンライン会議をしている足元でおもちゃを広げて遊びだします。また、「アニミズム:生物・無機物を問わないすべてのものの中に霊魂、もしくは霊が宿っているという考え方(エドワード、B.T.)」を示し、モノを擬人化して考えるため、「犬のジョンがクッキー食べたいって言うから妹の分も食べちゃった」と嘘のような発言をします。これらは嘘をついているという意識はなく、正常発達の範囲であると考えます。ただし、その言葉をうのみにするのではなく、結果について納得できるよう話し合うことが大事になります。「そう、ジョンが食べたいって言ったのね。でも、全部食べちゃったら妹〇〇ちゃんは泣いちゃうね。あなたの分が誰かに食べられちゃったらいやだよね?」のように話をしていきます。

学童期前期(6歳から10歳ころまで)

この時期になると、言語発達も豊かになってきて、「すぐにバレる嘘」や「わざと嘘を言う」など意識的に嘘が行われるようになります。小学生のころは、言語発達は顕著にみられても、まだ抽象的な概念や思考ができていないため、「なぜなの?」と迫られるとうまく言葉で説明できず嘘をついて言い訳をしてしまいがちです。また、きょうだいが生まれたり、家族の中で自分が注目されていない(評価されていない)と感じると、大げさな話しや嘘をつくことで皆の気を引いたりすることもあります。このようなときは、まずは赤ちゃんをパパに預け、1対1で向き合い、あなたが大好きだよ、大切な存在だよと伝えてみてください。

学童期後期思春期(11歳ころから15歳ころまで)

ギャングエイジと呼ばれるこのころには、友達との関係を重視するようになり、親に対して隠し事をするようになります。そのため、親は何か問題が大きくなってから子どもの言動の異変に気付くこともあり、その時に「嘘をついた」ことが大きな問題として取り上げられることも多々あります。多くの場合、人間関係の問題が背景にあることが多く、例えば友達からのいじめや金銭トラブルなどを隠そうとして嘘をついたり、何かを守ろうとして嘘をついたりすることもあります。このような問題が背景にあるときは、家族の中だけで解決しようとせず、スクールカウンセラーなどの専門家に相談することをお勧めします。家族内での解決は家族だから話せないこともあり、時に家族関係にひびが入るなど重大な問題に発展することもあるからです。

子どもが嘘をつく背景には、「親に話をしても信用してもらえない、怒られる」などの絶望感や行き詰まり感、諦めの感情が存在することがあるようです。それは、これまでの親との関係の中で、「せっかく相談したのに聞いてもらえなかった」「頭ごなしに否定された・怒られた」などの経験があるため、子どもの心の中に何とか問題の状況から逃れようと「嘘をつく」のです。

子どもに対しては、なぜ、噓をついてはいけないのかについて繰り返し伝えます。嘘をつくことを学ぶとさらに嘘を重ねることになり、嘘が絶対にバレないことはなく、やがては自身の人間関係、特に信頼関係を壊していくのだと伝えます。そして何よりも、子どもの話を受容的に聞いていく癖を親子の間で構築していくことが重要になります。「受容的に」ということが大事です。つまり、いい加減な気持ちで子どもに接することなく、子どもから吐き出される言葉がたとえどんなに理不尽で納得できないものであったとしても、まずはそのような気持ちがあったことを「無条件に受け止める」ことです。聞いてもらえた感覚が子どもの心を開かせます。

引き続き、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、当オフィスでのカウンセリング・セミナーは、少人数の従来の形でのセミナーと、リモートでのWebカウンセリングや大好評の「自分探し講座」などのZOOMセミナーを複数ご用意してお待ちしております。HPなどチェックしてみてください。また、弊社公式LINEアカウントでは、セミナー情報などを随時配信しております。是非、弊社公式LINEアカウントに「お友達登録」してみてください。

皆様のこころとからだのご健康をお祈りしております。

それではまた。

中里文子


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