(代表中里文子のコラム/2022.1.5)

古代ギリシャの哲学者であるアリストテレスは、著書「政治学」の中で、「人間は”ポリス的動物”である」と述べていますが、「ポリス」は「都市、都市国家、市民、市民権など」を指し、通常は「都市国家」という意に捉えられます。アリストテレスは「人間は社会的動物である」と直接的に述べてはいませんが、一般的には他者との関わり・つながりを想定した「社会的動物」であると解釈されるのが妥当だとされています。

また、「社会的」が意味するものには、自分だけではない「他者」を想定した「相互扶助」、つまり相互間における「利他性」が挙げられますが、進化論で有名なC.ダーウィンが自著の中で、高度に発達した社会形成には、人間の道徳観である「相互扶助」が多くみられると述べています。

例えば、お正月に皆が集まりお祝いしたり、冠婚葬祭の儀式に参列したり、お誕生日をお祝いしたり…これは人間が「相互扶助」に立つ「社会的生き物」であるからです。そのベースになる感情は「隣人愛」と呼ばれるものです。社会的動物である人間にとって、他者とのつながりをもたずに生きていくことは強い心理的ストレスをもたらすことになります。なぜなら、隣人愛相互扶助)は人間の本能だからです。本能(欲求)が満たされないと、途端に人はストレスを抱えることになります。そうしたストレスのひとつが孤独感loneliness)です。

孤独感は、「人間の社会的相互作用における願望レベルと達成レベルの間の食い違いから起こる(Peplau & Perlman, 1979)」と定義されています。似ている概念として「孤立social isolation)」があり、これは客観的な社会的つながりの欠如を示しますが、個人の不快で主観的な体験である「孤独感」とは区別されます。例えば、他者とのコミュニケーションを必要以上に望まない「一匹狼」と言われる人は、自身の社会的相互作用における願望レベルは低いため、社会的に孤立していたとしても、当人が感じる孤独感は高くないと考えられます。

感情面では、実際に他者から孤立しているかより、誰かと一緒にいても「気持ちを分かり合える人がいない」と感じる孤独の方が問題になりやすいのです。たとえ家族や友人と一緒に居ても、孤独だと感じることはあります。「理解されていない」「大切に思われていない」「必要とされていない」「愛されていない」など、「気持ちを分かり合えていない」と感じると、人は孤独になります。これらの感覚は、「また嫌われるんじゃないか」「迷惑だと思われたくない」というような予期不安の働きにより、人との関係や他者とのつながりを遠ざけてしまいます。そして、「嫌われるくらいなら人と関わらない」という防衛的態度から、「自分はこの世に存在する価値のない人間だ」「いない方がいい」となり、自尊感情をボロボロにしていきます。その行きつく先は、「自己破壊行為」であり、究極は「自死」につながる場合も少なくありません。

その解決方法の糸口になるのは、「人と話すこと」です。家族や友人でもいいですが、「聴くこと」の訓練を受けた専門家がいる「無料相談電話」はお勧めです。もちろん、心理カウンセリングを受けることがより効果的ではありますが…。自分の心の内を声として吐き出すこと、一緒に考えることで、この広い世界の中で自分は一人きりではないことに気づくかもしれません。匿名でもいいです、独りぼっちと感じたら、どうか人と話してみてください。

引き続き、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、当オフィスでのカウンセリング・セミナーは、少人数の従来の形でのセミナーと、リモートでのWebカウンセリングや大好評の「自分探し講座」などのZOOMセミナーを複数ご用意してお待ちしております。HPなどチェックしてみてください。また、弊社公式LINEアカウントでは、セミナー情報などを随時配信しております。是非、弊社公式LINEアカウントに「お友達登録」してみてください。

皆様のこころとからだのご健康をお祈りしております。

それではまた。

中里文子

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