(代表中里文子のコラム/2020.5.29)
大人でもなかなか正確に理解し、対処していくことが難しいこの状況の中で、子どもたちに何をどのように伝え、心のケアをしていけばいいのでしょうか。
私は以前から行政が提供する教育相談、子育て相談に相談員として携わっていますが、その中で多数を占めている相談は、やはり家族内での人間関係に関することです。つまり、家族の関係性が煮詰まり、親子間の距離がうまく取れず喧嘩になったり関係が悪化したりするといった内容が多いと感じています。特に、今回の新型コロナ禍における長引く「STAY HOME」の中で、家族関係の煮詰まりからくるストレスの対処方略が大きな課題となりました。
心の健康は、ストレスの対処の可否と大きく関係しているといわれています。また、光療法・生活リズム学会の研究論文では、体内時計を通常に保つことで心の健康は維持できるとされています。まずは、当たり前のことですが朝起きて夜寝る、朝・昼・晩と決まった時間に食事をとるなどで体内時計が正確に働くようになり、脳のメカニズムを整えるといいます。つまり、日常のルーティンにより体内時計が保たれるわけです。
また、自分のための時間「パーソナルタイム」を作ることも有効だとだといわれています。例えば、朝に皆より少しだけ早く起きてコーヒーを飲みながら新聞に目を通す時間だとか、一人で早朝散歩をするなどです。
家族内コミュニケーションの視点では、「感情の吐き出し(表現)」が重要になります。家族が家という狭いスペースでじっと沈黙していると、ストレスが溜まってきて、お互いの気持ちや感情についてネガティブな方向で想像し、必要以上に気を遣ってしまいます。不安な気持ちや不快な感情を我慢するのではなく、丁寧に言葉で伝え吐き出すことが必要になります。ただし、子どもは大人のように言語能力が成熟していないため、言語による感情表現が苦手です。抑圧された感情は、時には身体症状として現れることもあります。
今般のような新型コロナ禍における心の健康維持の観点では、大人も子どももどのように感情を表出できるかが大きな課題になります。
今、多くの人たち(家族)がYou Tubeなどの動画サイトで、自身のクリエイティブな活動をアップしています。例えば、料理や発明品の製作、マスクづくり、お絵かきなどが多くみられますが、これらは「クリエイティブな感情表現法」と呼ばれ、推奨されています。また、オリジナルエクササイズのように、身体を動かすことも感情表出(ストレス発散)の有効な手段になります。
「STAY HOME」の間に、私は今までトライしたことがない「園芸」(バジルとミニトマト、ゴーヤ育て)にチャレンジしています。バジルをたくさん収穫したらバジルソースを作ってパスタを作るぞ!とワクワクしています。ワクワクした気持ちや楽しいと感じる気持ちは、新型コロナ禍での心の健康維持において最も大切なことです。
それではまた。
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