(代表中里文子のコラム/2020.4.22)
学生時代には真面目に一生懸命勉強をし、就職試験で頑張って大手企業に就職し、これで人生はとりあえず安定していて人並みかそれ以上の生活は送れるに違いないと思っていた人は多いのではないかと思います。また、自社の商品が当たり、自社のお店にはいつでも長蛇の列、あるいは、銀座の一等地でレストランを開業し、1年近く予約が取れない評判のお店と言われていて、誰もがうらやむ人生だと思っていたお店のオーナーたち…。まさか、「新型コロナ(COVID-19)ウィルス」が世界を一変してしまうと誰が想像できたでしょうか。華やかな銀座も、活気あふれる浅草も今はいずこ、シャッターが閉まりゴーストタウンのようで寂しい限りです。
4/12の時点で、国内で新型コロナウィルス感染症の感染者は11,119例(厚生労働省)となりました。その中で、個々人ができることは「不要不急の外出を避け、マスク着用、手洗いうがいの強化、3つの密を避けるなど」ですが、これは予測不可能な事態に遭遇した場合の基本的な危機管理行動の基本と言えます。
アメリカの心理学者マズローの提唱した「欲求5段階説」のなかで、人間には5段階の「欲求」があり、1つ下の欲求が満たされると次の欲求を満たそうとする基本的な心理的行動が示されています。最も低次な欲求は、「第1段階:生理的欲求(食欲・排泄欲・睡眠欲など)」で、「第2段階:安全欲求(安全な暮らし、生命の安全、病気や事故などに対するセーフティネットなど)」「第3段階:社会的欲求(友人や家庭、会社から受け入れられたい欲求)」「第4段階:承認欲求(他者から尊敬されたい、認められたいと願う欲求)」があり、最上階層に「第5段階:自己実現欲求(自分の世界観・人生観に基づいて、「こうありたいと思う自分」になりたいと願う欲求)」があります。人間は、第1段階から第4段階までの間で行ったり来たりしていますが、実際に自己実現に到達したものはほとんどいない(少数)と言われています。
先に述べた、「社会の中で安全で安定していて、ある程度満たされている」と感じていた人々、つまり自己実現欲求に向っている人たちも、今回の予測不可能の緊急事態においては、一気に第2段階「安全欲求」の階層まで戻ってしまう状況に対してなすすべがないと感じていることでしょう。
予測不可能な事態が生じて今までの平穏だった世界が崩れてくると、社会(人々)はまず麻痺状態に陥ります。そうした時に、予測不可能な事態への認識を深め、事態に対してより適切に対処していくには、「正確な情報をキャッチする敏感さ(アンテナの精度を高める)」と、「意識の高さを身につける」ことが重要になります。これが危機管理能力の高さに繋がります。つまり、デマに惑わされず正確な情報を収集し、各人が他人事ではなく「当事者である」と認識することだといわれています。
人々は、予測不可能な事態に陥ると、まずはマヒ状態(パニック)に陥りますが、しばらくは「まだ大丈夫だろう」と現状把握が甘くなります。同時に、「自分だけは大丈夫」という思い込みに支配されるといわれています。これは、心理学では「正常性バイアス」と呼ばれれるものです。 人の心理状態として、都合の悪い情報を無視したり、「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」「まだ大丈夫」などと過小評価して、被害にあったり逃げ遅れの原因となるといわれています。人間の心は、予測不可能な出来事に対して比較的「鈍感」にできています。それは、日常生活の中で生じる変化や新しい事象やストレッサーに対して、心が過剰に反応して疲弊してしまわないために必要な防衛的な働きがあるためです。
今は変化に過剰に反応せず、じっと状況をとらえ、常に自身が当事者になりうると仮定して行動することが大切のようです。時間的余裕のある在宅ワークの中で、今私は、自分にできることは何なのかをしっかり考える時間を持とうと心掛けています。
新型コロナウィルス感染拡大防止のため、当オフィスでのカウンセリング(一部)・セミナーは5月連休後まで中止とさせて頂いておりますが、WebカウンセリングやZOOMによるセミナー等、リモートでのご利用はご用意しております。「おうちで過ごす時間」の中で、セミナーや勉強会などご自分磨きのお時間を持ってみることも有りかと思います。HPなどチェックしてぜひご利用してみてください。併せて、皆様のこころとからだのご健康をお祈りしております。
それではまた。
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