(代表中里文子のコラム/2016.9.20)

周りが海で囲まれているという枠が、今や日本人の中で消えつつある現在では、世界中の文化や現象が日本中に瞬時に浸透してきます。食べ物にしても、世界のあらゆる国の料理が日本にいながら割と簡単に食べることができるようになりました。そんな中で日本は果たして自国の「アイデンティティー」をどう維持できるのでしょうか?

私はその鍵は日本語にあるのではないかと思います。日本語の強さは、表音文字(ひらがな、カタカナ)と表意文字(漢字)を同時に持つという世界でもまれな言語であり、また、それゆえにあらゆるものを表現することが可能なのです。

言語と、その言語を持つ人の思考の在り方には、密接な関係があります。日本語を通して日本人独特のもののとらえ方、人間関係の築き方、維持の仕方などを見ることができます。

日本語では、相手との人間関係によって語彙や表現を適切に使い分けなければなりません。私たちは「年齢と地位」「精神的距離」によって日本語を使い分けます。つまり、「年上、目上、親しくない人」には丁寧な言葉づかいをします。

また、日本語の文化は、「察する」ことを期待します。明確に言わなくても相手がこちらの意図をくみ取ることを期待しながらコミュニケーションを進めます。「いいえ、○○は食べません」の「は」が意味することは、「○○の他なら食べるよ」という意味を含んでいます。

それと、日本人は拒絶されることを大変恐れるため、白黒はっきり断ることを避けます。はっきり断られる、拒否されることで傷つきます。たとえば、「和食は嫌いですか?」と聞かれ『嫌いです』と答えると、食事に誘おうとした相手との関係がそこで切れてしまう可能性があるのです。

このような高性能な日本語を使いこなすことは容易ではないため、最近では日本語の乱れはたびたび指摘されています。私たちが国際社会の中で日本独自のアイデンティティーを保持していくために、日本人独自のメンタリティー(精神性)としての日本語の価値を、再度見直す必要があるのかもしれませんね。ではまた。


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