(代表中里文子のコラム/2019.2.20)
「コンサルティング」と「カウンセリング」、どちらも似て非なるものですよね。ただし、ベースとなる技法や姿勢は共通する部分が多いのが特徴ではないでしょうか。
<コンサルティング>
対象:企業または、個人(相談者、顧客)
語源:consider(英)よく考える
定義:専門的知識やスキルに基づき、具体的方策、方法などを提案することで、相談者に気づきを促し、相談者自らが前向きに問題解決に向えるよう具体的に支援する
目的:問題解決
<カウンセリング>
対象:クライアント(来談者)個人が主
語源:consilium(ラテン)相談する
定義:精神的不安感、葛藤、障害などに寄り添い、クライアントが持つ自己治癒力を信頼し心理学的理論に基づき傾聴することで、不安や葛藤を軽減し前向きになれるよう支援する
目的:心理的支援(不安や葛藤などの軽減)
コンサルティングもカウンセリングもベースとなる技法は、人間性心理学の代表的心理学者であるC.Rogersの提唱した「クライアント(来談者)中心療法」になります。特徴は、対象となる人(相談者、来談者、顧客など)が本来有している自己治癒力、自己回復力、心的エネルギーなどを信頼し、「non directive(非指示的)」であることです。つまり、コンサルタントやカウンセラーが「こうしなさい、ああしなさい」と指示出しするのではなく、常に対象者が最終決定をしていくということです。
会社の部署内で人間関係に行き詰っている事例の場合を双方の立ち位置で考えてみますね。
<ダメな例> 相:相談者 CC:コンサルタントまたはカウンセラー
相①:「自分なりに努力しているのに分かってもらえない、それどころか使えないと言われ辛い…」
CC①:「そりゃあひどいですね、上司に話してガツンと言ってもらうべきです。主犯格は誰ですか?」
相②:「・・・いや、あの…、そこまでしなくてもいいと思うのですが…」
CC②:「そうやって弱気だから相手がつけあがるんですよ。しっかり態度で示すべきですよ」
なぜ、「ダメな例」なのでしょうか?相②で相談者は困っていますよね。「そうじゃなくて…」という「分かってもらえなさ」が表れていて、これでは問題解決に結びつかないからです。CCは「クライアント中心」ではなく、自己中心的な「~すべき」という自身の価値観に基づいた発言をしていますね。では、それぞれの立場で、どのような応答をすれば相談者の心は整理されて前向きになれるのかを示してみましょう。
<コンサルティング> Cl.相談者 Ct.コンサルタント
Cl.「自分なりに努力しているのに分かってもらえない、それどころか使えないと言われ辛い…」
Ct.「分かってもらえない、使えないと言われ辛いと感じているのですね。自分なりに努力しているということですが、具体的にどのようなことをされているのですか?」
Cl.「みんなが作業しやすいように棚を整理したり、一杯になったごみを捨てたり…」
Ct.「ああ、皆さんが作業しやすいようにと考えているのですね。部署内での〇〇さんの仕事の中心はどんなことでしょうか?」
Cl.「はい、私の仕事は出来るだけ早く多くの顧客のデータを入力して、分析班に渡すことです」
<カウンセリング> Cl.クライアント Co.カウンセラー
Cl.「自分なりに努力しているのに分かってもらえない、それどころか使えないと言われ辛い…」
Co.「分かってもらえない、使えないと言われ辛いと感じているのですね。分かってもらえない、辛いという気持ちについて、詳しくお話しいただけますか?」
Cl.「皆のためにと思って環境の整備をしているのに、そんなことやってないでさっさと仕事をしたら?と言われます。作業効率を考えて環境整備を優先しているのに…」
Co.「皆のために、作業効率を考えて、ということをどなたかにお話ししたり相談したことはあるのですか?」
Cl.「いいえ、誰かに気づいてもらって褒められたいと思っていたので…。評価されたい、褒められたいってつい、先回りして余計なことをする癖があるんですよね…」
「コンサルティング」は、実際の作業に焦点を当て、行動面で整理をし、問題解決に向かう展開をしています。一方、「カウンセリング」は、相談者の内的な感情に焦点を当て、心理的側面に関して内省を促すことで「分かってもらえない、辛い」気持ちについて気付きが得られるため、状況が前に展開していきます。
それぞれアプローチに仕方と目標は異なりますが、他者支援ということにおいて「クライアント中心」であることが重要となることに変わりありません。余計な指示をせずに寄り添うこと、一緒に居ること(Being)がポイントとなります。
当オフィスでは、生きづらさに寄り添う心理療法カウンセリング(認知行動療法、精神分析的心理療法など)や心理検査を使った自己理解の作業を行っております。医療との連携もありますのでお気軽にお尋ねください。詳細は、HPを是非、チェックしてみてください。
それではまた。
こんなことでお悩みの方・・・・・専門家のカウンセリングを受けてみませんか?
カウンセリングでは、ご相談者様の生きづらさに寄り添い、その原因となった出来事に対するものの捉え方、感じ方など内的な感情に焦点を当て、各種心理療法(精神分析的心理療法など)を用いて、ご相談者様の心の側面について内省を促し、生きづらさを解決していきます。
● 自分のこと(家族や友人にも話せない心の悩み、ご自身性格のことなど)
● 家族のこと(親との関係、夫婦関係、子どもとの関係、子どもの発達障害など)
● 仕事のこと(ストレス、ハラスメント、職場の人間関係などなど)
● キャリアのこと(就職、転職、離職、復職など)
カウンセリング・心理検査のご案内はこちらから
最近のコメント