(代表中里文子のコラム/2021.6.29)

昭和(今どきの子どもは「昭和時代」と呼びます笑)の頃の価値観として、「学校を休む」「仕事を休む」ことにはとても抵抗があり、大きな罪悪感がありました。まして、今の50歳代以上の人たちにとっては「学校(仕事)を休む」という選択肢は基本的になく、むしろ「何が何でも行け!」といわれ育ったことと思います。

昭和から平成へと移り、多様な価値観から物事の本質を見極めていくようになりました。学校領域では、「辛い気持ちを抑えて頑張らなくてもいいよ」「苦しいときは休んでもいいんだよ」という受容的な対応に変わり、登校拒否⇒不登校(行き渋り)のように言葉も変わったと同時に、休むことへの抵抗感はさほど大きくなくなってきたようです。
職業領域でも、ストレスチェック制度が始まり、「休職」に対する抵抗はだいぶ軽減してきたように思います。特に、精神的ダメージに注力するようになり、「ハラスメント」という言葉が広まりました。精神的ダメージが社員のパフォーマンスを低下させ、同時に企業への損失が増大すると気づいたからです。

近年、プレゼンティズムPresenteeism)という言葉が産業衛生の領域で聞かれるようになりました。プレゼンティズムとは、「出勤しているにも関わらず、心身の健康上の問題により、充分にパフォーマンスが上がらない状態」を指します。一方で、欠席を意味するアブセンティズムabsenteeism)という言葉があり、「欠勤や休職、遅刻早退などのように職場にいることができず、業務に就けない状態」を指します。

企業では、従来はこのアブセンティズムの予防と対策に焦点を当てて行ってきました。日本では、「どちらが効率的か」よりも「頑張り」が評価される傾向がいまだに残っています。しかし、最近では企業の生産性において、プレゼンティズムの方がアブセンティズムよりも、業績に与える影響が大きいことが明らかになってきました。プレゼンティズムの従業員には、作業効率や判断力、集中力の低下と、ケアレスミスの増加が顕著にみられることが分かっています。

現在、政府や企業が、労働者の健康増進に投資して生産性を向上させる「健康経営」の取り組みを進めています。「健康経営」とは、従業員の健康管理を経営的な視点から把握し、戦略的に取り組むことです。従業員の健康を改善し、健康な状態で出社できるようになれば、企業が受けるメリットは大きいからです。

例えば、風邪をひいた状態や微熱や倦怠感がある状態で業務に就くと、作業効率が約5%下がることが分かっています。また、慢性的な疲労感や痛みを伴う肩こり、花粉症、鼻づまりなども同様に企業の利益水準を引き下げるといわれています。5%作業効率がダウンした社員が数十人もいれば、会社の損失は莫大になってきます。

最近では、生活習慣病や睡眠障害などが深刻なプレゼンティズムの問題として指摘されています。これらは、毎日の生活習慣から生じます。睡眠障害(不眠症など)は、日中業務でのパフォーマンスを著しく悪化させ、事故やミスの発生を増加させます。また、メタボなどの生活習慣病は心臓疾患などのリスクを上げ、社員の心身の健康を害するだけでなく、将来の認知症リスクを倍増させることが分かってきました。

現在、企業内で管理職の多くは、50歳代以上の「頑張り」「忍耐」「根性」が染みついた世代です。部下との関わりの中で「部下を評価するものさし」となるのは、自分自身が歯を食いしばって頑張ってきた「経験」でしょう。そうなると、「今どきの若い者は弱い・甘い」となり、最終的には「ハラスメント」で訴えられ、「どう扱えばいいのかわからない」と自身が精神的に参ってしまうケースが少なくありません。

「北風と太陽」のように、まずは、「無理な残業を強いることをしない・本人が希望しない勤務時間帯で働かせない」というように、企業側が社員に対してストレスを蓄積させるような業務命令を行わない姿勢が重要になるのです。その次は、何といっても、社員に対して「自己理解」を促すこと、です。まずは、自己を分析し、自分の現状を知ることが大事です。自分自身が見えてくれば、その先の対策が立てられるのですから。

引き続き、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、当オフィスでのカウンセリング・セミナーは、少人数の従来の形でのセミナーと、リモートでのWebカウンセリングや大好評の「自分探し講座」などのZOOMセミナーを複数ご用意してお待ちしております。HPなどチェックしてみてください。また、弊社公式LINEアカウントでは、セミナー情報などを随時配信しております。是非、弊社公式LINEアカウントに「お友達登録」してみてください。

皆様のこころとからだのご健康をお祈りしております。

それではまた。

中里文子

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