(代表中里文子のコラム/2021.5.24)
1990年代にアメリカの心理学者ルイス・ゴールドバーグが提唱した「ビッグ・ファイブ理論」は、「人間が持つさまざまな性格は5つの要素の組み合わせで構成される」とする考え方で、科学的に最も信憑性が高い性格分析であるとされています。
「ビッグ・ファイブ理論」では、私たちの性格は5つの性格因子の組み合わせで決定されると考え、各因子はレベル1~5に分かれ点数処理されます。しかしながら、それぞれのレベルがその人の性格を反映しているだけであって、高いから低いから良いとか悪いとかというわけではありません。あくまでも人の性格の特性を分析していくもので、これは「特性論」と呼ばれています。
ビッグ・ファイブを構成する5つの性格因子は、「外向性」「開放性」「誠実性」「協調性」「神経症傾向」であり、それぞれの因子の特徴を以下に示します。長所・短所は表裏一体です。
- 「外向性」:ポジティブなことへの感情反応
高い⇒コミュニケーション力に優れ、野心を持つ
低い⇒物事を冷静に考察する力に優れ、家庭の安定を求める
- 「開放性」:想像力、拡散的思考、芸術的感受性、
高い⇒芸術性、知性に優れ、新しい世界に対し好奇心を持ち行動に移す
低い⇒問題解決能力に優れ、形式的な思考を求める
- 「誠実性」:自己コントロール能力の高さ
高い⇒自己抑制が効き、集中力が高い
低い⇒アドリブ力に長け、行動力がある
- 「協調性」:共感能力
高い⇒協力的で道徳的、チームで物事を成していく
低い⇒カリスマ性があり、孤立を恐れない
- 「神経症傾向」:ネガティブなことへの感情反応
高い⇒周囲の人の感情に敏感で、空気を読む(メンタル弱い)
低い⇒恐怖心に囚われることなく頼れる存在で、温和(メンタル強い)
「ビッグ・ファイブ理論」では、人の性格は、5つの性格因子の組み合わせと強弱により形作られていると考えます。
例えば、「ツイてる、運がいい」と考える人の特徴は「開放性」「外向性」が高く、ポジティブな方向へ思考が動き新たなプラスの方向へ想像力を働かせるため、物事に関して「ツイてる、運がいい」と考えます。
また、「誠実性」「協調性」が高い人は、自分一人が生き延びるより家族を守り、安定的な生活を送る傾向があるため、「幸福度」が高いという傾向があるようです。
「幸福度」に関しては、日本と欧米では考え方が若干違うようです。多くの日本人は、「どれだけ自分が他者に必要とされ認められ評価されているか」で「幸福感」を得るようですが、欧米人は、自分自身の成功や成果、アチーブメントなどで幸福度を測ります。これは、脳内ドーパミン(神経伝達物質)の代謝の違いによるようです。日本人はドーパミンの代謝は早く、欧米人は長く脳内に留まります。ドーパミンは、モチベーションや生産性(達成感)に関わっているため、ドーパミン代謝の早い日本人は、自分で意思決定するよりひとに合わせるようですが、ドーパミンが長く脳内に留まる欧米人は、モチベーションややる気が保たれ、自分自身で意思決定すると言われています。
ビッグ・ファイブでの結果を分析することで、自身の行動や内観を変えていくことは可能です。例えば、「開放性」「外向性」が低い人は、いつも通りに行動するのではなく、いつもと違う道を歩いてみたり、読んだことのない本を読んでみたり、新たな経験をしてみることをお勧めします。きっと「いいことが起こるようになった」「こんないいことを見つけた」と気づきがあるに違いありません。また、ドーパミンを増やしたいのであれば、イライラした時、モヤモヤ気分の時に「有酸素運動」を取り入れてみてください。「立つ・歩く・小走り」などなら簡単にできそうですね。軽い運動のあと、仕事へのモチベーションの高さにきっと驚くでしょう。
やはり、「自己理解」はとても大切ですね。「じゃあ、どうしようか」という対策が立てられますから。
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それではまた。
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