(代表中里文子のコラム/2021.8.31)
労働作業は、従来は「肉体労働:身体を動かし作業をすることで賃金を得る労働」と「頭脳労働:何らかの判断や思考、アイデアを創出することで賃金を得る労働」というように、主に2種類に分類されてきました。しかし近年、これらに加えて、新たに「感情労働」という概念が定着してきました。
「感情労働」とは、アメリカの社会学者であるA・R・ホックシールドが著書の中で、「肉体労働や頭脳労働とは異なる形態の労働」と言及したことにより、注目されるようになった概念です。「感情労働」とは、常に自分の感情を抑え、明るくふるまうことで賃金を得る労働をさします。
感情労働の代表的な職業に「介護職」があります。元々は、航空機のキャビンアテンダント(客室乗務員)がその代表例とされていましたが、今は、看護師や介護職、ホステスやオペレーター、企業の苦情処理担当なども感情労働に当たるといわれています。
多くのサービス業において、正規・非正規の社員格差、ブラック企業、成果主義の導入などにより、「心理的悩み」が増えており、日本社会においてメンタルヘルスの問題が深刻化しています。サービスを提供する企業は、顧客に最大限の満足感を与えるための感情を分析、ルール化し、それを労働者に要求するため、労働者は顧客に対して自身の尊厳を犠牲にすることを強いられている状態となり、時には精神的苦痛を伴うこともあります。
継続的に感情を抑えていると、人は激しい精神的消耗の末、突如、虚無感に襲われる「燃えつき症候群(バーンアウト)」に陥るケースが多くみられます。顧客の主張がネガティブであるほど、労働者が受ける精神的消耗が激しくなり、気持ちがすり減った状態では、やりきれなさや虚無感といった虚しさを抱きます。責任感が強く、熱心に仕事に取り組む人ほど、感情を抑制したあとの反動が激しくなり、「仕事にやりがいを感じられない」「働きたくない」といったように、働く目標を見失ってしまうのです。
労働者が精神的に大きなストレスをためることで、うつ病や依存症といった精神疾患を患うこともあります。その対策として、企業は産業医と連携して労働者の健康を守ることが求められます。「感情労働」で最も問題とされるのは、感情労働に携わる労働者自身が、本音を吐き出す機会がないということです。感情をコントロールし、抑制状態が普通となってしまうと、「喜び」「悲しみ」「怒り」といった自分自身の感情を内観する機能が鈍くなり、同時に働く意義や仕事のやりがいも見出せず、ストレスだけが強調されるようになってしまいます。
ストレス対処法という意味では、今や感情労働だけの問題ではなく、コロナ禍において、人々の感情は吐き出し先を失っている状況です。飲み会で愚痴を吐き出すこと、おなかを抱えて皆でゲラゲラ笑うこと、大声で叫ぶことおしゃべりが弾むランチタイム…感情を吐き出す行為の多くは控えなければなりません。
「王様の耳はロバの耳~」と叫ぶ「穴」は、皆さん、持っているのでしょうか?SNS?いや、あれには本音は吐き出していないはず。では、どこだ?そう、それこそが「カウンセリング」なのです。安全で安心できるカウンセリングの場で、専門職であるカウンセラーこそが、その役割を担います。バーンアウトする前に、自分の心が壊れてしまう前に、本音を吐き出すカウンセリングの場を得ることは、とても意味があるのです。
引き続き、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、当オフィスでのカウンセリング・セミナーは、少人数の従来の形でのセミナーと、リモートでのWebカウンセリングや大好評の「自分探し講座」などのZOOMセミナーを複数ご用意してお待ちしております。HPなどチェックしてみてください。また、弊社公式LINEアカウントでは、セミナー情報などを随時配信しております。是非、弊社公式LINEアカウントに「お友達登録」してみてください。
皆様のこころとからだのご健康をお祈りしております。
それではまた。
★2020年11月にオフィスを移転いたしました。新オフィスへのアクセスはこちらから。
こんなことでお悩みの方・・・・・専門家のカウンセリングを受けてみませんか?
カウンセリングでは、ご相談者様の生きづらさに寄り添い、その原因となった出来事に対するものの捉え方、感じ方など内的な感情に焦点を当て、各種心理療法(精神分析的心理療法など)を用いて、ご相談者様の心の側面について内省を促し、生きづらさを解決していきます。
● 自分のこと(家族や友人にも話せない心の悩み、ご自身性格のことなど)
● 家族のこと(親との関係、夫婦関係、子どもとの関係、子どもの発達障害など)
● 仕事のこと(ストレス、ハラスメント、職場の人間関係などなど)
● キャリアのこと(就職、転職、離職、復職など)
カウンセリング・心理検査のご案内はこちらから
最近のコメント