(代表中里文子のコラム/2018.6.20)
イソップ寓話のひとつである「北風と太陽」の話…あるとき、北風と太陽が力比べをすることになり、どちらが旅人の上着を脱がせることができるか、という勝負をしました。北風は力いっぱい風を吹きつけ、旅人の上着を吹き飛ばそうとしましたが、強く吹けば吹くほど旅人は上着をしっかり押さえ、北風は旅人の服を脱がせることができませんでした。次に、太陽がぽかぽかと暖かく優しく照りつけると、旅人は暑さに耐え切れずに自分から上着を脱いでしまいました。これで、勝負は太陽の勝ちとなりました。
寓話の目的は、教訓や真理を伝えることです。この、「北風と太陽」の教訓は、「冷たく厳しい態度で人を動かそうとしても、かえって人は頑なになるが、暖かく優しい言葉を掛けたり、態度を示すことにより、人は自分から動いてくれる」という組織行動学的な視点が一般的のようです。ただ、この内容は「第2回戦目」という説もあり、第1回戦目は、旅人の上着ではなく、「帽子を取る(脱ぐ)」だったため、北風の勝ちだったようです。それはさておき、冷たさ(厳しさ)と暖かさ(優しさ)、または、飴と鞭のような関係をうまく使った心理戦術に、「良い警官と悪い警官」というものがあります。
概要:
「「悪い警官」は対象者に対し、粗暴な非難や侮辱的な意見や脅迫などの攻撃的かつ否定的な態度を取り、基本として対象者との間に反感を作り上げる。これにより、対象者に同情的な役割を演じる「良い警官」の活躍の場が整えられる。「良い警官」は対象者に対し支援や理解を示すように見せかけることで、基本として対象者への共感を演出する。また、「良い警官」は対象者を「悪い警官」の締め上げから庇護する。対象者は「良い警官」への信頼感や「悪い警官」への恐怖から、「良い警官」と協力関係が結べるのではないかと思い込み、結果として「良い警官」へ協力するために、色々な情報を話してしまう。」
この方法は、一昔前の日本の家庭では、よく見られた光景でした。「大家族で、悪役の父がいて、悪さをした子どもに対して雷を落とす。意地を張って謝らない子どもに、優しくは母寄り添う。“いつもお兄ちゃんのあなたが頑張っていることを母さんは知ってるよ。いつだって弟想いなことも知ってる。で、どうして今日は弟をぶっちゃったんだろうね…きっと何か理由があったんだよね?”そして兄ちゃん、泣く。兄ちゃんは母さんに手を引かれ、弟のもとへ、そして“ごめん”」こんな感じでしょうか…。しつけが「チーム」でなされていたように思います。父と母の役割が逆でもいいと思います。ただ、少子化、核家族化、シングルマザー・ファザーの家庭が増え、2つの役割がなかなか成り立たなくなってきているのでしょう。または、やけに物分かりのいいパパとそれにまして物分かりのいいママがいて、「悪い警官」が不在になっているように思います。
戦闘モノやドラマ、プロレスなど、意外と「悪役」は重要な役割をします。悪者ばかりは論外ですが、良い人ばかりでも良い結果につながりません。子育ても、人材育成も、チームで行うことが良い結果につながるようです。
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それではまた。
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