(代表中里文子のコラム/2018.7.20)
アートセラピー(芸術療法)は、セラピストがクライアントの作品を通してクライアント自身の象徴的な自己表現を読み取り、クライアントから解釈を引き出していく心理療法の一種です。通常のセラピー(カウンセリング、心理療法)で使われる「言葉(言語)」を媒体とせず、芸術を媒体として行われる心理療法であり、言語が未成熟である子どもや言語コミュニケーションに困難のある人々に対しても行える治療的心理療法であるという特徴をもちます。
アートセラピーにおける芸術的自己表現に関わる創造プロセスは、クライアントの対人関係問題、ストレス軽減、自尊感情、自己価値を高め、また、クライアント自身の内省・洞察力を深めていくことの手助けとなります。アートセラピーは、心理療法のモデルに、視覚芸術(描画、絵画、彫塑、その他の芸術形式)・創造的プロセスを統合したものですが、クライアント自身の芸術の経験や専門的知識は必要とせず、芸術的な価値を基準にしないという特徴があります。
1940年代後半、イギリスの芸術家エドワード・アダムソン(1911-1996)は、エイドリアン・ヒル(Adrian Hill)とイギリスの長期滞在精神病院で精神疾患患者が絵を描くことでの治療効果を広めることに尽力した。また、アメリカでは、マーガレット・ナウムブルグ(Margaret Naumburg)とエディス・クレイマー(Edith Kramer)博士は、子どもたちを対象にした心理療法の一つとして、「子どもたちの治療としての芸術/Art as Therapy with Children」を著し、”サイコダイナミック・アートセラピー”を生み出しました。
その後、アートセラピーは、心理学的な目的のために投影法と呼ばれる心理検査の分野に広まり、フィレンツェ・グッドイナフ(Goodenough)は子どもの知能を測定するためにの「人物画法テスト(Draw–A–Man)」と呼ばれる描画テストを作成しました。そのほか、「DDS検査(The Diagnostic Drawing Series:木の絵を含む3つの絵から分析)」、「HTPテスト(House-tree-person-test:家屋‐樹木‐人物画法テスト)」などがあり、日本独自の手法では精神科医の中井久夫が考案した「風景構成法」があげられます。
また、アートセラピーの領域に近いもので、遊戯療法(play therapy)から派生した表現療法の一つとして、「箱庭療法(sandplay therapy)」があります。砂が置かれた既定の箱の中に、クライエントはセラピストが見守る中で自由に部屋にあるミニチュア玩具を置いていく手法であり、作られた作品は言語化されるときもあります。基本的には、自由に見守られながら表現することが重要であるといわれています。現在は成人の治療にも使用され、また、成人に対してより簡易的な手法として「コラージュ療法」も同程度の効果が認められています。
当オフィスでは、親子カウンセリングをはじめ、子どもを対象にした心理療法(遊戯療法、アートセラピー、箱庭療法など)、また、医療と提携した心理検査、発達検査(子ども、成人)など、多数ご用意しております。HPなど、時々のぞいてみてください。
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