(代表中里文子のコラム/2021.2.28)

 

熱が出た、咳が止まらない、体がだるい…そういった症状があるときには、細菌やウィルス感染の可能性を考え病院へ行きますね。医学領域では、主に以下の2パターンの流れで治療にあたります。

【感染症モデル】
  1. 主訴:患者「熱が出て体がだるいんですが…」などと訴える症状のことです。
  2. 見立て:Dr.「いつから?」「他に症状はある?」「家族に同じ症状は?」など尋ね、これは何の病気か目星を付けます。(インフルエンザ、コロナウィルス、扁桃炎など)
  3. 治療目標:検査等で「原因」を特定し、菌やウィルスなどの消退を目指します。
  4. 具体的治療方法の提示:まずは検査などでウィルス等を確認し、それに効く薬を投与し、また症状に対して、鎮痛剤や解熱剤の服用を促し治療していきます。
【慢性疾患モデル】
  1. 主訴:患者「熱が出て体がだるいんですが…」などと訴える症状のことです。
  2. 見立て:Dr.「いつから?」「他に症状はある?」「家族に同じ症状は?」など尋ね、これは何の病気か目星を付けます。(高血圧、糖尿病、リウマチ、機能性胃腸障害など)
  3. 治療目標:「原因」は多数でマチマチ(遺伝子、物理的環境、化学物質、生活習慣、ストレスなど)なため、原因をすべて取り除くことは難しいです。状況を少しでも改善し、健康的な生活レベルを保つことができる状態にすることが目標になります。
  4. 具体的治療方法の提示:特に、生活習慣や環境整備などの見直しをします。「改善できること、変えていけること」など、「使える資源」は何かを探し、治療改善に当たります。

「感染症モデル」では原因が特定できるため「原因を特定して治療」しますが、「慢性疾患モデル」では原因は多数で複雑に絡み合っているため、特定してそれを治療するということが難しくなります。そしてその原因の中にはどうすることもできないもの、例えば遺伝的な要因や個人の気質などが含まれているため、治療や問題解決には「使える資源」を探し出し、それを利用していく方法を取ります。

例えば、「糖尿病」の場合、原因となるのは「インスリン分泌量が減少・インスリンの働きが弱くなる」ことですが、そうなる原因は、食生活や生活習慣の問題、喫煙、運動不足、ストレスなど多岐にわたり、特定し排除していくことは難しいとされています。そこで、「使える資源」を探し治療をしていくことになります。例えば、食生活や運動習慣の見直しや禁煙等生活改善などの生活指導が、「使える資源」になるわけです。

心の病に関しても、やはり「感染症モデル」では対応しきれず、「慢性疾患モデル」で対応していきます。つまり、「使える資源」を探し出し、それを利用していくのです。

例えば、会社の部署内でプレゼンをしていると、声が震え呼吸が苦しく過呼吸になるというパニック障害の人がいるとします。「原因」を特定しようとすると、過去の失敗体験トラウマ)、本人の性格気質親子関係きょうだい関係劣等感知覚過敏対人不安自己評価の低下等、特定することは不可能です。そこで、「使える資源」を探していく「慢性疾患モデル」に当てはめていきます。「使える資源」は、興味関心のあること、夢中になれること、自身の強み、信頼できる友人、家族、同僚や話を聞いてくれる上司、お守り、呼吸法、ペット、子どもの頃から持っているタオルなどです。

これらの「使える資源」を上手く使うためには、少々コツがあります。まずは、自分自身を「分析」していくのです。どんな時に(どのような場面で、または、どのような言葉を言われたときに)パニック発作が起こるのか、紙に記録していきます。また一方で、パニック発作が起こらなかったときはどんなときかも記録します。じつは、この「起こらなかったときはどんなときか」が重要なのです。これを「例外探し」と呼ぶこともあり、「パニック発作が起こらず、何とかプレゼンができた」ときに注目し、「その時は普段と何が違っていたのか」を考えることで「使える資源」が見えてきます。例えば、「隣にいつもおはようと言ってくれる先輩が座っていた時」「大好きな緑色の服を着ていた時」などです。それを繰り返すことで、成功体験を重ねていきます。

先に述べたように、心の病の原因は多岐にわたり複雑で、そうスッキリと特定できるものばかりではありません。しかしながら、「使える資源」の中で治療的関わりとしても、予防の観点からも大変有効であるもの、それが「心理カウンセリング」になります。

引き続き、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、当オフィスでのカウンセリング・セミナーは、万全の感染対策を最大限に取りながら、定員を減らした少人数制・対面でのセミナーを中心に、リモートでのWebカウンセリングや大好評の内容のZOOMセミナーを複数ご用意してお待ちしております。HPなどチェックしてぜひ、弊社公式LINE@に「お友達登録」してご利用してみてください。

皆様のこころとからだのご健康をお祈りしております。

それではまた。

中里文子

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