(代表中里文子のコラム/2021.9.21)
「何か気が重いなあ…」「胸の辺りがざわざわする」「胸がいっぱいで息苦しいなあ」などと日常で感じることってありますよね。そんな時はどうしていますか?「まあ、気にせず頑張るしかない」「気のせいだ、弱いな、自分…」のように、からだが発する漠然とした感覚(身体感覚)を振り払ってはいませんか?その身体感覚こそが「身体緊張(ネガティブな身体信号)」であり、重要な心のSOS信号でもあるのです。
脳の奥深い部位に「扁桃体(へんとうたい)」があります。扁桃体は、ヒトの情動反応に関わっており、ここで「好き・嫌い」などの感情を司っています。好き・嫌いの感情は、実は人間が生きていく(種の保存)に関わる大事な役割をしています。ある実験で、扁桃体のないサルを蛇やトラの前に置くと、怖がらずに近づいてしまいます。つまり、身の危険(嫌悪、恐怖など)を感じることができず、動物界では「食われてしまう」わけです。
ストレスを感じると、最初に反応するのが脳内の「扁桃体」といわれています。不快な出来事からストレスを感じると、身体反応として肩こり、頭痛、胃痛、腰痛などの「身体緊張」が起こります。ここに反応しやすい人もいれば、さほど身体緊張を感じない人もいます。メンタル不調や鬱病になりやすい人は、身体緊張を起こしやすい人です。ストレスはネガティブな身体信号である身体緊張を起こすため、扁桃体は不安感や恐怖感、嫌悪感などのマイナス感情を引き起こします。そのため、行動は制御され、誰にも気持ちを吐き出したり相談したりすることができなくなり、問題を一人で抱え、メンタルがダウンしていきます。
心理療法(対話などのカウンセリングなどを通して、精神障害や心身症の治療、心理的な問題や不適応な行動などを解決することで精神的健康の回復、保持、増進を図ろうとする理論体系)のひとつに「フォーカシング」があります。フォーカシングでは、人が感じる「身体感覚」に焦点(フォーカス)を向けます。「胃の辺りがキリキリする」「なんか胸が息苦しい」という身体感覚を振り払うことなく、むしろそこにフォーカスし、「この感覚はどこからくるのかな」「息苦しいって何があったのかな…」とその感覚に寄り添い深めていきます。すると、「あ、そうか…上司に皆の前でまた怒鳴られるんじゃないかって、それって嫌だなあ。会議に出たくないなあ」と、内的な隠されていた本音の感情が見えてきます。「あ、そうか」と気づくことで、じゃあどうすればいいのかという「対策」ができたり、誰かに相談したりすることができるのです。
大事なことは、「身体感覚」を振り払わず、自分の心の中に浮かんできた「嫌だなあ、会議に出たくないなあ」という感情を否定しないで「認めてあげること」です。そうすることが、不快な感情(抑うつ状態)を解放することに繋がり、また、「そりゃそうだよなあ、あのデビル上司には誰もがうんざりしているしなあ」と気づくことで、「自分の心が弱いから」と自己否定する必要がなくなります。
「何か気が重いなあ…」と感じたら、「何でそう感じているのかな」とその感情に寄り添ってみてください。きっと、「ああ、そうか!」と何かに気づくはずです。
引き続き、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、当オフィスでのカウンセリング・セミナーは、少人数の従来の形でのセミナーと、リモートでのWebカウンセリングや大好評の「自分探し講座」などのZOOMセミナーを複数ご用意してお待ちしております。HPなどチェックしてみてください。また、弊社公式LINEアカウントでは、セミナー情報などを随時配信しております。是非、弊社公式LINEアカウントに「お友達登録」してみてください。
皆様のこころとからだのご健康をお祈りしております。
それではまた。
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