(代表中里文子のコラム/2021.10.25)
私たちは日常的に「ストレス」という言葉を口にします。「ストレス」とは、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことです。 外部からの刺激には、天候や騒音などの環境的要因、病気や睡眠不足などの身体的要因、不安や悩みなど心理的な要因、そして人間関係がうまくいかない、仕事が忙しいなどの社会的要因があります。
人は、ストレスに直面すると、自分なりに不快な状況を解消しようと解決策を考え実行に移しますが、どのような方法でストレスに向き合うかは人によって異なります。
例えば、ストレス原因は同じでも、直面したときに激しく落ち込む人もいれば、全く気にしない人もいます。前者はストレスへの向き合い方が苦手な人であり、後者はそれが上手な人といえます。
米国の心理学者R.S.ラザルスはストレス対処方略を、「ストレスコーピング」と呼びました。ストレスコーピングを、「ストレスと人間の健康状態」の観点で比較した2つのパターンを例示してみますね。
A社の新入社員でまじめで頑張り屋のSさんと、B社の新入社員で大雑把だけれど明るいMさんが、それぞれ上司から責任ある仕事を任されたとします。
A社の新入社員は、今年、同期は入社せずSさん一人です。優秀なSさんはA社にとって期待の星です。当初Sさんは、上司は自分を信頼してくれているのだと嬉しく感じていたものの、次第にその仕事は自分の能力にしてはとても負担だと感じ始め(ストレッサーになり)、不安感、動悸や息切れ、食欲不振、眠れないなどの症状が表れ、やがては仕事どころか会社へ行くことさえ負担になり、うつ状態になりました。
一方、B社の新入社員はMさんを含め8人でした。8人の中でMさんの成績は優れているわけではないですが、Mさんは楽観的で手助けしてあげたくなる甘え上手なタイプです。Mさんは失敗続きでなかなか仕事が上手くいきませんでしたが、なぜか「僕はやれる」とポジティブにとらえ、また、同期に愚痴をこぼしたり相談したりしていく中で、何とか仕事を終えることができました。また一つ、Mさんは自信を増したように見えます。
これらのことは、先行研究の結果と一致します。ある研究では、強いストレスをかけると健康度が下がる群(C群)と、強いストレスをかけると健康度が増す群(D群)があり、その比較をしていく中で、C群は自己評価(自尊感情)が低く、ソーシャルサポートが少なく、一方でD群は、自己評価(自尊感情)が高く、ソーシャルサポートが多いという結果でした。
つまり、ストレス自体は必ずしも有害とは言えず、むしろストレスコーピングの在り方が重要ということが言えます。この結果を踏まえ、ある会社では、新規採用を隔年にして、同期の新入社員をまとめて採用するように工夫したそうです。その結果、新入社員の早期離職率が減ったそうです。
また、ストレスコーピングにおいて、「相談行動」がうまく使えるかどうかということも重要になります。信頼できる人に話を聞いてもらい助言を求めることや、手助けしてくれる人に相談してみること、先輩や上司に支援を求めることができるなど、適切な「相談行動」がとれることが、心の強さ(メンタルタフネス)に繋がります。
心の強さは、一人でがむしゃらに頑張れることではなく、仲間に相談し、ときには助けてほしいと言えるかどうかに関連しているのですね。イメージとして、メンタルタフネス度の高いのは、一見強そうに見える「鉄」よりも、しなやかで弾力性のある「竹」でしょうか…。
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皆様のこころとからだのご健康をお祈りしております。
それではまた。
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