(代表中里文子のコラム/2020.12.29)
人の感情には、喜び・怒り・哀しさ(悲しさ)・楽しさ・寂しさ・嫉妬・悔しさ・不安感などがあります。人として社会で生活していく上で、これらの感情を適度にコントロールしていく必要があります。感情を上手くコントロールできるようになれば、ある意味、「生きやすく」なります。
感情はどのように起こるのでしょうか?心理学の歴史の中で、感情生起に関して対立した2つの仮説(悲しいから泣くのか、泣くから悲しいのか)がありました。①キャノン・バード説:悲しいという情動が泣くという生理的行動を生み出す(情動⇒身体)②ジェームズ・ランゲ説:泣くという生理的行動が悲しいという情動を起こす(身体⇒情動)というものです。(それ以降もこれらの仮説は変更・修正されています)
感情(情動)と行動のニューロンネットワーク(神経系ネットワーク)には、異なる脳内物質のシナプス伝達と記憶が絡んでいるようです。
ニューロンネットワークは幼少期の経験、記憶などに上手く張り巡らされますが、ニューロンの一部を遮断されると色々な回路に情報が伝わらなくなります。例えば、幼少期の虐待(身体的、心理的、性的虐待など)つまり、体罰や言葉の暴力によりできる脳の微細な傷によりニューロン回路の一部が遮断され情動の伝達が阻害されるため、相手の感情が理解できないということが起こります。また、インスタントやレトルト食品などに多く含まれる食品添加物の過剰摂取や栄養バランスが崩れた食事などでは、脳内物質の偏りや阻害が起こります。その結果、「理解する」という脳のニューロンネットワークの形成が阻害され、情動が伝わりにくいということが起こると考えられます。
また、感情をコントロールする方法として以下の方法があります。
- 物事、事象などの認知を変える(物事の受け止め方を変える)
- 思考を変える
- 気持ちを切り替える
しかしながら、これらのことは思い立ってすぐにできることではなく、幼少期の頃から生活の中で親が自然に教え込むことが大切です。例えば、子どもが悪いことをしたときにはなぜ悪いかを説明し、相手の気持ちを想像する訓練を日常の中でしていきます。親の感情で子どもを叱らないことも重要です。私たちはこれらの感情コントロール手段を普段から無意識のうちに行っていて、ある程度心を守っています。心理学的に言えば、「自我防衛機制」です。例えば、酸っぱいブドウの話で、おいしそうなブドウを手に入れることができなかったキツネは、「きっとあのブドウは酸っぱいに違いない」と。いわゆる認知を変えることで、悔しさや憤りを静めていく方法です。
少年院の子どもたちは、怒りのコントロール能力が低いと言われています。その要因として、彼らの多くに、身近な人(特に親)からその時の機嫌や気分で叱られていた、暴力的な行為を受けていた経験がみられます。この経験により、ニューロンネットワークの回路は脳の中で発育していかなかったことが考えられます。彼らに感情のコントロールができるよう訓練していく方法として、「ディベートを繰り返す」ことをしていきます。はじめのうちはうまくいかず黙ってしまったり喧嘩になったりしますが、相手の気持ちを想像し理解させながら話し合わせることで一般的レベルでの感情のコントロールが可能になります。つまり、脳の神経細胞を上手く連合させていくためには、人との感情交流が必要だということです。
子どもの頃は、なんだかよくわからないことでお互いゲラゲラ笑っているうちに、楽しい気分になってくることってありましたね。これって、「身体(笑う)⇒情動(楽しい)」ですが、大人になると、むしろ「情動⇒身体」が多くなるように思います。例えば、コロナ禍で大好きな恋人に会えない…。「会えないんだ」と理解して、「会えないのは悲しい」と感じることで涙が出て泣くでしょう「情動(悲しい)⇒身体(涙が出る)」。そうなってしまう原因である不快な出来事や不安な状態を解決できるのが一番なのかもしれませんが、なかなかそうはいきませんね。そんな時こそ、「身体⇒情動」を使うと気持ちの切り替えがしやすいでしょう。
「作り笑いをする・上を向いて歩く・胸を張って力強く歩いてみる・深呼吸する・お気に入りの服を着て街に出る」などが「身体(行動)」です。女性の「化粧をする」ことも意味があります。「身体⇒情動(感情)」により、きっと今より「気持ち」が楽な方向に変化するはずです。
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皆様のこころとからだのご健康をお祈りしております。
それではまた。
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