(代表中里文子のコラム/2017.5.20)

楽観性抑うつ自尊感情との関連が検討され、その結果、楽観性の高い人は抑うつ(うつ病)などに陥りにくく、精神的な健康を保つことが示されています。

例えば、皆さんはコップに水が半分入っていた場合、グラスには水が「まだ半分も入っている」か、それとも「もう半分しか入っていない」か、どう答えますか? 楽観主義者は「半分も水が入っている」と言いますが、悲観主義者は「半分しか入っていない」と答えます。

楽観性が、 学業やビジネス場面での成功に結びつくことを示す研究は多くあります。その中で、前向きで楽観的な人は、「粘り強さを発揮して様々な困難に負けず、チャンスをもたらすような状況に自らを置く傾向」にあり、何度か失敗したときに「もうだめだ、うまくいかない」とあきらめる人より、楽観主義者のほうが最終的に成功につながるという結果があります。

心理学的な考えの中で、人は行動エネルギーやモチベーションを支えるために心理資源を有しているという考え方があります。その心理資源は、自己効力感、希望、楽観性、ストレス耐性などのポジティブな心理特性から成りますが、他の性格特性や気質などと比較すると、楽観性などはトレーニングなどにより開発が可能であるといわれています。

「こだわりのない楽観的態度(ダメでもともと、まあ、やってみようか)」や、「物事に対する肯定的な姿勢(そのうちうまくいくよ、何とかなるよ)」といった「人生を信じる姿勢」は、ある意味でリスクを恐れない生き方とも言えます。

「履歴書を出してもきっと落とされ傷つくだけだ」とか、「あの人に声をかけてもどうせ断られる」など、リスクを回避し安全な方ばかり選ぶことを繰り返せば、転機や出会いを失い続けることになります。

例えば、中学校の先生がクラスの子に資料を作る仕事を手伝ってもらおうとして、まず最初に、一番頑張っているAくんに声をかけると「僕にはできないと思います」と断られ、仕方なく二番目に頑張っているBさんに声をかけると「はい、やらせてください」と喜んで引き受け、翌日にはしっかり先生をサポートしてくれたとします。では、次に同じような仕事をお願いする時には誰に声をかけますか? Bさんに声をかける人は多いでしょう。

「ラッキーな出来事や出会いに対し肯定的な態度をとっていれば、頻繁にラッキーな出来事が生じるようになる」というもの、これは、クランボルツ博士の「ハップンスタンス理論」というキャリア理論に基づいています。チャンスに対して、まずは「はい、喜んで」という姿勢は、自分自身の人生を豊かにしてくれる第一歩になりそうです。

それではまた。


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