(代表中里文子のコラム/2019.4.20)
「当たるも八卦(はっけ)当たらぬも八卦」とは占いのことで、「占いは当たる場合もあれば当たらない場合もある」と昔からこのように言われています。つまり、ほとんどの占いにおいては理論的背景が立証されていずに、学問という学術的立場には立っていないようです。だから、「当たるかもしれないし、当たらないかもしれない」となるわけです。
とても似て非なるものに、「心理学」があります。心理学とは心と行動の学問であり、科学的な手法によって研究され、「行動と心的過程についての科学的学問」「心や行動の科学を研究する」と解釈されています。主に統計学に基づき、観察・実験・調査等の方法によって一般法則の探求を推し進める学問です。統計学というと堅苦しいですが、例えば、95%の水準と高確率で立証されていきます。100人いたら95人が同じような行動をとる、ということですね。
例えば、「ミラーリング効果」と呼ばれるものがありますが、これは、好感を持っている相手の仕草や表情、動作を無意識のうちに真似てしまうことをいいます。ミラーリングには、「類似性の法則」というものが深く関係していますが、自分と似た人、似たものに対して人は好感を抱きやすいという法則がベースになっています。付き合っている者同士、「仕草が似てきた」「話し方が似てきた」「好みが自分と似ている」「価値観が近い」などは、お互いに好意を抱いているためにお互いの共通点が際立って認識されていると考えられます。
そのほか、「アンダーマイニング効果」などは、内発的に動機づけられた行為に対して、報酬を与えるなどの外発的動機づけを行うことによって、モチベーション(やる気)が低減する現象をさします。心理学者リチャード・ドシャーム氏の「自己原因性」という理論から解釈できますが、人は「他者に自分の行動を決定された」という知覚を伴うと、もともと持っていた「自分で自分の行動を決定したんだ」という感覚が失われてしまい、モチベーションは下がってしまいます。例えば、ボランティアで率先していて行動していたものが、その行動に時給が支払われてしまうとやる気がなくなってしまうなどがその例です。つまり、自分の喜びとして行動していた時は行動そのものが「目的」でしたが、報酬を得ることによってボランティア活動自体が「手段」となってしまうため、そこに喜びを感じにくくなるわけです。アンダーマイニング効果は若年者ほど影響が大きいという特徴があります。過剰な褒め言葉やご褒美は、それ自体が目的となりそればかりに気を取られるようになってしまうんですね。
「マインドコントロール」や「バーナム効果」などは、占いなどの話術にも活用できそうです。マインドコントロールは、強制によらず、さも自分の意思で選択したかのように、あらかじめ決められた結論へと誘導するテクニックを指します。その中には、‟フット・イン・ザ・ドア・テクニック“があり、「登録すると粗品差し上げます」など、さほど大変ではない要求を提示し、最終的に大きなものを買わせてしまうテクニックのことです。反対に、“ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック”は、「10,000万円貸して!」と言って断らせて、「じゃあ、2,000円でいいから貸してくれない?」と目的の2,000円を借りることに成功するというテクニックです。
「バーナム効果」とは、心理学者ポール・ミールが、興行師 P・T・バーナムの “we’ve got something for everyone”(誰にでも当てはまる要点というものがある)という言葉に因んで名付けたものですが、誰にでも該当するような曖昧で一般的な性格をあらわす記述を、自分だけに当てはまる正確なものだと捉えてしまう心理学の現象を指します。被験者に何らかの心理検査を実施し、その検査結果を無視して事前に被験者とは無関係に用意した「あなたは本来、とても誠実な面を持っていますよね」「あなたは快活に振舞っていても心の中で不安を抱えている事がありますね」といったフィードバックを被験者に返した場合、被験者の多くが自分へのそのフィードバックは適切なものだと感じてしまうことをいいます。占いの入り口は、このテクニックを利用していると考えられますね。
「あなたは人一倍負けず嫌いで人に頼ることを好みませんが、人との心の繋がりを何より大切にしていますね」
「普段はのんびりマイペースですが、いざとなると行動力を発揮し、粘り強く物事に取り組むことができますね」
「積極的な部分と消極的な部分を合わせ持っているため、物事に臨機応変に対応することができるようですね」
このように、自身の中にある「二面性」や「葛藤する二側面」を述べることで、どちらかが当てはまれば、もう一側面も当てはまると思いこませてしまうテクニックは、占いなどの文言ではよく使われています。「今日の占い…○○座のあなたは残念、今日は最悪の運勢です。落ち着きのなさがおもてに出てしまいます。でも大丈夫、赤い色の何かを身に付ければいつものマイペースのあなたらしさを取り戻し、運は回復してきます!」…なんだ、最悪じゃないじゃないか(笑)
当オフィスでは、占いのような感覚での自己理解や自己分析を提供する機会を、カウンセリングを通じて行う試みをしております。「予防」の観点でカウンセリングを受け、自身の状態を知ることには大きな意味があります。どうぞいつでもお気軽にお尋ねください。詳細は、HPを是非、チェックしてみてください
それではまた。
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